2007年 05月 02日
終始好天に恵まれて眺望もすばらしく、気持ちのよい稜線歩きでした。 と報告したいところですが、実際には予想以上に長くて険しく・・・ かなりしんどい山行でした。 T岡さんとF島さん、どうもお疲れ様でした。 お二人の頑張りのお陰で何とか乗り切ることができました。 それから、計画段階で、色々なアイディアを出してくださいましたShihoさん、 同じく有益なアドバイスをくださいました皆様、どうもありがとうございました。 以下詳細。 --------------------------------------------------------- 2日(水) 夜 梅田のロッジ前で集合して車で岐阜へ。 この日は連休後半の初日ということもあり混んでいて3時過ぎに ようやく駒ヶ根高原に到着。仮眠を取る。 --------------------------------------------------------- 3日(木) 快晴(夜間は落雷と降雪) 5:00、起床。天気はとても良さそう。 6:30、駒ヶ根スキー場を過ぎた地点の登山口から登り始める。 9:00、整備された歩きやすいハイキングコースを辿って、池山避難小屋に到着。 所々に雪が出てきたので小屋以降はスパッツを付けて進む。 10:30、マセナギの頭で稜線に出る。ここからは両側の切れ落ちた尾根の 斜面をトラバースしながら進む「大地獄、小地獄」の難所が始まる。 所々に金属のステップや橋が設置されている。ここからはアイゼンを 付けて進んだ。ルートの大半は切れ落ちた斜面のトラバースルートで、 5月のこの時点では氷雪に覆われており、登山道とはいえ、気を抜けない。 特に後半の小地獄からは、もし滑落したら結構滑りそうな斜面が連続する ようになり、私とF島さんはザイルで確保しながら進む事とした。 嫌なトラバース。T岡さんのカモノハシが滑落。 15:30、悪場を抜けてようやく迷い尾根に出る。この時点で行動時間を大幅に 超過しており全員の疲労も著しい。 ここからは指導標も夏道も雪に埋まっており、先行のトレースに従って 尾根を直進する(後で指導員に聞いたところ、夏道は尾根を巻いて道が ついているが、冬場はトラバースが危険なので直進が正解との事)。 空木岳を直登するルートと、目的地である空木避難小屋を経由するルートの 分岐点が見極められなかった為、暫く直登ルートを登った時点で、眼下に 雪に埋まった避難小屋を発見。やれやれ。読図力不足を反省。 ↓分かりづらいですが、屋根を残して埋もれた避難小屋です。 17:00、1日目の目的地である空木避難小屋に到着。雪渓の真ん中にあり、 屋根以外ほぼ埋まっており中には入れない。 今回の山行はテント泊が前提だったので、大人しくテントを張っていれば 事は簡単なのだが、閉ざされた無人の小屋を前にして、掘り出して入り たくなってしまった。後から到着した単独行の男性と暫しの相談の後、 30分も掘ればドアまでは到達するだろうとスコップ2本で掘削を開始した。 その結果、確かに30分弱に小屋の入口部分は除雪できたが、小屋の引き戸は スライド部が凍り付いており、押しても引いてもまったく動かない。 その後1時間近くも扉と格闘後に涙目で諦める事に・・・。 幸い、リーダーよりも現実的で常識的なF島さんとT岡さんが明るいうちにテントを 設営してくれていたのでなんとか助かった。 夕食はペミカンカレー。雪渓である為、夜中はポールが曲がる風が強く、 雷鳴も近くで轟いていたが、疲労のせいか殆ど妨げられずに熟睡できた。 それにしても初日からなんという肉体的・精神的な疲労困憊・・・。 --------------------------------------------------------- 4日(金)快晴 稜線風強し 風速5~10m 6:10、小屋発。朝からすばらしい天気。夜の間に少し降っており、 真っ白な雪渓に一筋のトレースを刻みながら空木岳を目指す。 途中、T岡さんにトップをお願いするとそのあまりの速さに男性陣は 忽ち置いてきぼりに。なんて頼もしいんですかT岡さん。 7:20空木岳山頂に到着。 風は強いが、朝日に映える南駒ケ岳から木曽駒の山群の眺望は見事の一言。 (通過後に稜線の肩に駒澤ヒュッテを発見。雪には埋もれていない。 後に補導員に聞いたところでは土間の部分は閉鎖期でも開放しているとの事。) 南駒ケ岳方面を一望。 空木岳の稜線。かっこいい。 頂上から第一ピークまでの下りは、夏道では鎖・ハシゴの連続する テクニカルなルートであり、この時点では、大半が氷に覆われていて、 ザイル確保は必須の下降。YK-F島-T岡の順でコンティニュアスの態勢を 取り下降を開始。アイゼンの前の刃を蹴り込みながら下り、側面を差し 込みながらながらトラバースする。滑ったら下まで止まらなさそうな斜面 なのでゆっくり慎重に進む。 ひやひやのトラバース。 慣れないコンティニュアスで、核心を抜けるまで一時間以上も掛かったが、 第一ピーク以降は普通の夏道であり、30分で木曽殿小屋に到着。 この小屋もこの時期は営業していなかった。GW中の営業小屋は木曽駒周辺のみ。 この時期のこのルートが人気がない訳だ。。。 10:30ハイマツと雪を踏みつけながら東川岳に到着。天気は良いが、 相変わらず風が強い。10m程度の風が始終吹いていて、風をさえぎることが できる場所を見つけたらそこで休む、というパターンになる。 東川岳から熊沢岳までは5つのピークがあり、所々で緊張を強いられる クライムダウン&トラバースをさせられた。特に岩稜となっている熊沢岳本峰からの 下りが悪いと感じた。 2日目で木曽駒ヶ岳まで到達するという当初の予定が達成困難であることは 早々に明白になってきた為、今日はどこまで進むかを考えた。地図上では、 極楽平や檜尾岳の先の鞍部で張れそうな気もしないでもなかったが、 この風ではツェルトならともかく幕営は不可能だろうと考え、本日の目的地を 檜尾避難小屋にすることにした。 14:50檜尾岳山頂。ここから肩の避難小屋までは10分足らずの距離。 檜尾避難小屋は非常に快適な小屋で、極楽平から来られた3人パーティーが先着 しており、我々の後に宝剣岳から来た1名の単独行者が到着して合計7人名に なった。 他の人達と話したが、このルートを厳しいと感じたのは我々だけではなかった らしく安心した。3人組は我々の逆のコースを予定していたが、池山尾根は長過 ぎるので、このまま檜尾尾根を下って帰ることにするとの事。我々も木曽駒ヶ岳 方面から入っていたらおそらくは同じ結果になったはずなので、柔軟性を重視 したルート選択は正解だったと思う。 夕食はご飯が進む君とポテトサラダ。おいしい。ワインもおいしい。 それにしても3人パーティーの酒歩荷量が2Lというのはどう考えてもおかしい。 天気図を書いたが翌日の天気は下り坂に思われる。4人も宝剣岳は特に厳しいと 言うので、明日の行程は、まずは2つのピークを超えた先にある極楽平を目指し、 次に体力と岩の状態次第で宝剣・木曽駒ケ岳を登るか、登らずに千畳敷に下るか を決めることにした。 二日目も夢も見ないほど熟睡。 --------------------------------------------------------- 5日(土)快晴 稜線風強し 風速5~15m 4:00起床。快適な目覚め。 5:30小屋発。小屋の外に出てみると一面のガスで視界は良くない。 所々に雪庇のあるヤセ尾根なので、トレースとコンパスを頼りに慎重に進む。 濁沢大峰の前後の岩稜帯が悪くザイルを出す。 6:30、濁沢大峰到着。ガスが晴れてきて、島田娘ノ頭が見えてきた。 私の観天望気に反して天気は良さそうだが、相変わらず風は強く、 特に島田娘の登りではジェット気流の中に立っているかのようであり、 耐風姿勢を取らなければ吹き飛ばされてしまいそうな勢いだ。 7:50、島田娘ノ頭着。ここまででかなり疲労していたので、宝剣岳は 省略することに決定。 極楽平から千畳敷に至るカールの綺麗な雪面を、尻セードで一気に滑降する。 この山行で一番楽しい瞬間である。ロープウェイ山頂駅の一般人が我々を指差して いるのが分かる(どうだ羨ましいだろう)。だいたいあの人達は山に登るでもなしに ロープウェイでこんな所まで来て何をしているんだろう。 8:30、千畳敷ロープウェイ駅着。このコースを登る人は少ないので、補導員の 人達からの質問攻めに遭う。こんなに熱心な人達がいらっしゃるならば、 事前に連絡を取って相談しておけばよかったと思うほど、入山者の事を気に かけていらっしゃった。下山後のお店や温泉の紹介をしてもらった。 「こまくさの湯」で入浴、昼食をとった後、さて帰ろうかというところで なんとクルマのバッテリーが干上がっているというトラブル発生。 原因はスモールランプのつけっ放し・・・。かなりブルーになりましたが、 T岡さんが駐車場管理者の人にレスキューを依頼してくれて、バッテリー連結で 事なきを得ました。JAF呼ばなくて済んでほんと良かった・・・。 帰りの高速は空いていたので順調に帰宅。 --------------------------------------------------------- 【反省】 ・残雪期のルートは下見が必要 過去に一度も通った事がないルートだった為、それなりに余裕を もって臨んだつもりでしたが、想像力にはやはり限界があります。 下見の必要性を痛感しました。 ・地元の情報ソースの活用 小屋、地元山岳会からその時期の山域の情報を聴取することも非常に 有効だと感じました。 ・アイゼンワークの充実 ・装備の軽量化 ・読図力の強化 --------------------------------------------------------- 期間:2007年5月2日(水)~5日(土) 参加:YK、T岡、F島 行程: 2日(水)快晴 大阪発22:15-3:15駒ヶ根高原 菅の台駐車場着、仮眠 3日(木)快晴(夜間は落雷と降雪) 菅の台6:20-7:20三本木地蔵7:40-9:00池山避難小屋9:20-10:30 2000m地点 -11:00大地獄-12:30小地獄-15:30迷い尾根-17:00空木避難小屋 4日(金)快晴 稜線風強し 風速5~10m 空木避難小屋6:10-7:20空木岳7:30~9:00第1ピーク-9:30木曽殿小屋9:55 -10:30東川岳-12:00熊沢岳-14:50檜尾岳-15:20檜尾避難小屋 5日(土)快晴 稜線風強し 風速5~15m 檜尾避難小屋5:30-5:40檜尾岳-6:30濁沢大峰-7:50島田娘ノ頭-8:05極楽平 -8:30千畳敷ロープウェイ駅-駒ヶ根高原-16:40大阪着 (YK)
by 8bacchus
| 2007-05-02 22:00
| 山行報告
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